2021年7月3日、突如、熱海市を大規模な土石流が襲いました。東日本大震災から10年。当時のことがフラッシュバックした方も少なくなかったのではないでしょうか。被害にあわれた方々には、心よりお見舞い申し上げます。
昨今では「100年に一度」と言われるような大雨が各地で何度も起こり、土砂災害も多発しています。災害リスクは、不動産の資産価値に大きく影響する可能性もあります。
土砂災害等は増加傾向に
(出典:国土交通省)
「災害リスクが上がっている」ということは、ここ数年、毎年のように起こる土砂災害や水害の発生から感じ取っている方も少なくないのではないでしょうか。
(出典:気象庁)
体感値でも「最近、豪雨が増えたなぁ」と感じるところでしょうが、数値を見ても明白。この45年ほどで、豪雨の発生頻度は1.5倍以上になっています。
災害リスクはある程度、予測できる
水害・土砂災害が増えた昨今ですが、実際に被害が大きかったエリアは「警戒区域」等に指定されていることが多いものです。
たとえば、今回、土石流が起こった熱海市の該当エリアは「土砂災害特別警戒区域」に指定されていました。
災害リスクは「ハザードマップ」で簡単に確認できます。2020年からは、不動産取引時に「水害ハザードマップにおける対象物件の所在地」を事前に説明することが不動産会社に義務付けられるようになりました。
「災害リスク」は今や、不動産売買において決して無視できない重要な情報となっているのです。
マンションも例外ではない
「水害リスク」というと、主に一戸建てが対象になってくるものとお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、マンションも例外ではありません。
(出典:国土交通省)
2019年には、武蔵小杉駅周辺の高層マンションで敷地内および建築物内が浸水する被害が発生しています。マンションに地下がある場合、そして機械式駐車場がある場合には、被害は大きくなる傾向にあります。
停電や給水設備等、ライフラインが使用できなくなるなど、被害が甚大になることも考えられます。
災害リスクが高いエリアは長期的に資産価値が低下する可能性も
「災害に備える」ためだけでなく、不動産の「資産価値」を考えるためにも、ご所有の不動産の災害リスクにはぜひ目を向けてみてください。
日本ではすでに人口減少が始まっており、将来的には国民の「住む場所」の選択肢は今よりずっと多くなるでしょう。つまり、わざわざ災害リスクが高いところに住む必要がなくなっていくのです。
都市のコンパクト化を図る自治体もあります。人が住む場所・住まない場所、価値が落ちない場所・落ちる場所の格差は今後どんどん大きくなっていくものと考えられます。
幸いにも、今は一戸建て、マンションともに、不動産価格が高騰しているとき。今は、災害リスクを踏まえて不動産の売り時を考える好機ともいえるのではないでしょうか。