コロナ禍では不動産流通数が大幅に落ちましたが、ここに来て中古物件の成約数は前年度を大きく上回るほどの回復を見せています。
さらに、現在、政府は2021年度の税制改正で住宅ローン減税の延長を検討しています。実施が決まれば、2021年も不動産の売り時が継続する大きな要因となるでしょう。
住宅ローン減税とは?
自宅を購入する人のほとんどが、住宅ローンを組みます。住宅ローン減税とは、10年間にわたってローンの年末残高の最大1%を所得税・住民税から控除する制度です。
最大控除額は400万円(長期優良住宅は500万円)にも及ぶため、不動産購入検討者を後押しする非常に大きな控除制度だといえるでしょう。また、「購入検討者を後押し」するということは、「不動産の売り時を後押し」することと同義です。
2020年末まで「10年」が「13年」に延長
2019年の消費税増税に伴い、現在、住宅ローン減税は控除期間を10年から13年に延長する優遇措置が取られています。
ただし、現行制度では期間延長の対象は2020年末の入居まで。つまり、2021年からは現行制度が使えなくなってしまうのです。
2021年度税制改正により再延長が検討されている
現行制度では、「2020年末までの入居」に限り住宅ローン減税の延長が認められますが、2021年度の税制改正によって改めて控除期間の延長が検討されています。
政府・与党は2021年度の税制改正で、消費増税対策として導入した住宅ローン減税の特例措置延長を検討する。現在は控除を受けられる期間を通常の10年間から13年間に延ばしているが、対象は今年12月末までの入居者。不動産業界は入居期限の2年程度の延長を求めており、政府・与党で協議する。日経新聞2020/9/24
2021年も不動産の売り時が継続するか?
(出典:東日本レインズ)
上記グラフは、首都圏の中古マンション・中古戸建の成約数の推移を表したものです。コロナ禍の4月、5月に大きく落ち込んだ水準は、8月までに大幅に回復しており、コロナ前を上回っています。
今もまさに「不動産の売り時」といえる時期ですが、住宅ローン減税の延長が決まれば、2021年も売り時が継続するための大きな要素となりえるでしょう。
まとめ
住宅ローン減税の延長のみならず、住宅ポイント制度の創設や住宅資金の贈与税非課税枠拡充など、住宅購入検討者を後押しする多くの制度が今、検討段階に入っています。
買主を後押しする制度は、売主を後押しする制度。不動産の売り時を判断するためには、視点を変え、買主目線で買い時を考えてみることも大切です。